プロフェッショナル仕事の流儀

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先日、NHKのテレビ番組 『プロフェッショナル仕事の流儀』 で全盲の研究員、浅川智惠子さんの仕事が紹介されていました。

先ず浅川智惠子さんってどんな人?って思っちゃいますがこんな人

そしてIBMが販売しているホームページ・リーダーの作成責任者。さらにIBM Fellow

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IBMが販売している音声関連の製品は実際の仕事でも使用したことがあったりしてどうやってこういう音声関連のエンジン部分を作成しているのかなぁ~なんて気になっていたんです。

そういう意味で今回の浅川さんを扱った番組は凄く面白かったです。
こういう一般販売されているソフトウエアに関してその作成に携わってる方の仕事ぶりがテレビの電波に乗るってあんまり無いですから。 だから余計に。

番組を見た感想ですが浅川さんの部下に対する仕事の振り方、プロジェクトの進め方、物事の考え方、など等、その全てが粋でした。

浅川さんが番組の中で言われていた。

「ワクワクする様な可能性」

「物事を苦しいと思うまで突き詰める姿勢」

これってとっても大事な事だと思うんですよね。

技術向上を推し進めるビタミン剤と口に苦い薬として。
これ以外で技術が進歩する要素は金儲けと戦争位でしょ。

で、僕は粋な人はとっても好きなわけで(*^_^*)
浅川さんの大ファンになってしまいました。

番組の中では浅川さんが優秀な部下に課題を与えるエピソードがあるのですがこれを見ていると、とっても身につまされました。
新しい課題を与えられた技術者がその実現方法に対してかなりしんどい思いをしていたエピソードなんですが。

彼は浅川さんからブラウザで使用されているタグがどのようなものであるかを囁いてくれる機能について、それが実現可能かどうかの課題を与えられるわけです。
たとえば購読者数の多いリンクだと「人気の記事です」なんてコンピューターが自動的に呟いてくれる機能なんですが。

その処理の実装を担当した彼の最初の答えは、

『無理』

と言うものでした。

でも浅川さんのアドバイスの下、最後には一応の目処が立つ処までその機能を完成させるんですけどね。
その彼と浅川さんのやり取りが良かったです。

とかく技術者は既存の技術の枠組みの中で物事を考えがちになる面があります。
それは新しい事に対する場合ですら。
本人は新しい事を考えているつもりでも。

そして技術者の悪い癖としてワクワクする事もドキドキする事もそれを実現しなければいけない命題が出た場合、物凄い速度でそれを実装するまでの手順や工程を考えちゃうんですよね。映画を観る様に。
プログラムの構成はこんな感じにして此処でこういうセンサーを付けてセンサーから来た信号はこうやって処理して云々・・・・
そして安直に考えて言ってしまう。

「ん・・・・これだけの事をするとこれだけの時間がかかってしまいます。だからこの処理は実現無理です。」

なんて・・・
ワクワクはどこに行ってしまったんでしょうね。

そういう時、最初は何をしたかったのか何が楽しいのかを的確に指示してくれるリーダーの存在はほんとに大事なんです。
技術者に任せていたら実現方法にのみ着目した議論しかしないことがよくあります(バカですから(^_^.))

そして技術を持ってる人は概ね職人が多い。
正直言って職人は人の言うことききません。
自分の経験を大事にします。
でもそんな職人が言うことをきく方法が二つあります。

感動

会社は金を、リーダーは感動を与えるる事。 これが一番だと思うんですよね。

浅川さんは感動を与えすぎやろ。ってくらいに暖かい言葉(言い方きつかったけど(笑))を部下の方に与えられていましたね。
それにとってもチャーミングだし。

で、話は浅川さん達が現在取り組まれているアクセシビリティ技術。
アクセシビリティ技術とは障がい者や高齢者を含むすべての人が自由にIT機器を操作できるようにするための技術の事。

たとえば全盲の方でもパソコンを使ってインターネットに接続した場合、そのサイトの内容を読み上げてくれたりすれば記事の内容がわかりますよね。
そしてそんな時、WEBページをコンピュータが解析するのですが、アクセシビリティに優れていないサイトの作りだと正しく情報をコンピュータが認識出来ない事が往々にしてあります。
たとえばある写真がサイトに貼ってあってもその写真の説明が記載されていない場合、それは写真が存在しているという事実だけでどんな写真?という本来の意味がわからなくなってしまいますよね。
そういう情報を正しく乗っけて行くことがアクセシビリティの向上に繋がります。

正直自分がサイトを作る場合、アクセシビリティに関しては健常者目線でしか考えてこなかったように思います。
と言うかあまり考えてこなかったと言ったほうが正しいかも。

でも最近、自分の目の視力が著しく低下した為、サイトの文字はもちろん色使いに至るまでさまざまな部分でアクセシビリティから程遠いサイトが如何に多いかって事が目に付くようになりました。

例えば、

  • 文字サイズが小さい。
  • いきなり音楽が鳴る。
  • 背景に溶け込んだ配色の文字(正直これが物凄く辛い。特に携帯の画面。読んで欲しくないの?って位に思っちゃいますから。)

もちろん自分が作成しているサイトもアクセシビリティの基準を全然満たしていないけど。

とにかくこれからはアクセシビリティを意識したつくりをしていきたいなぁ~なんて思ったしだいです。

そして何よりワクワクした気持ちを持ち続けたい。

これが一番大事なのかもしれません。

何をするにも。
そして生きて行くには。

良い番組でした。

関連記事:

「浅川智恵子のアクセシビリティ論(1) – 技術の広場:ITpro」の

TRL | 研究員の紹介 | 浅川 智恵子

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コメント

  1. こいけさん より:

    > 森 さん
    そうですねぇ。
    ワクワクって気持ちは何に関してもとっても大事な事だと思います。
    そして人との繋がりも。
    それによって頑張れる気持ちになれたり自分を大事に思う気持ちになったりできますし。

  2. えせパイパー森 より:

    私は何のプロでもないけど(-_-;)
    「ワクワクする様な可能性」
    「物事を苦しいと思うまで突き詰める姿勢」
    ってどんな事にでもあてはまる重要な要素だと思います。
    苦しいと思ってもいいんだ、ということや、色んな角度で見てみるべきってことが含まれてて「なるほど」と思います。
    「感動」もキーワードですね。人と人との繋がりの大切さですよね。

  3. こいけさん より:

    > ima-gine さん
    僕も色んなリーダーの指揮する大小のプロジェクトに参加してきましたが良いリーダーの条件って明確なマイルストーンをちゃんと示してくれる人かなって思います。
    確かに色んな要素が絡みついて難しくなりがちですが切り口を変えると案外単純だったり。
    当事者はそういう事に気づく余裕がなくなってますから。
    そんなときはやっぱりリーダーの一声が欲しいわけで。
    この番組はとっても為になりました。

  4. ima-gine より:

    すばらしい!
    アンサンブルや合唱団、、
    音楽でもおんなじですね。。
    うまく立ち行かないプロジェクト、
    順調に進むプロジェクト、、
    全ての要素が入ってますね。
    そのプロジェクトに必要な要素の中の
    自分はどの要素としてポジションに立つか、、。
    でも、先ず重要なのは『頭』ですね。

    考えさせられました。。納得です。