概要
Banjoはカントリーやブルーグラスミュージック、デキシーランドジャズ、そしてアイリッシュミュージック等、色々なところで使用されている楽器です。
よくみるとホント、変な形してますよね。
ネックの途中から5弦が始まったりしてるし(笑)
形状的には同じBanjoでも、5弦 Banjoと4弦 Banjoに分けられます。
その他にはギターと同じチューニングをする6弦のGuitar BanjoやウクレレBanjo 、Mandolin Banjo等色々と亜流も生まれてるんですけどね。
その辺りの話は置いておいて、ここでは5弦と4弦に関して少し説明してみたいと思います。
歴史
Banjjoの起源に関しては諸説あるのですが現在言われている説ではアメリカにつれてこられたアフリカの黒人奴隷が自国で使用していた楽器(エコンティン:Akonting)がアメリカで改良された楽器だと言われています。
形をみればなるほど~って思いますし革を張った胴にブリッジ置いて弦を張るなんてのはいかにも民族楽器的ですし。
更にその奏法をよく見ると殆どバンジョーの古いスタイルの演奏法であるフレイリングなんかにそっくりです。
三味線、三線(さんしん)、二胡(にこ)なんか同じ構造ですね。
構造
バンジョーを構成する基本的なパーツは次の様なものです。
リム
楽器本体です。
Banjoは楽器本体が丸い輪っかになっています。
ちょうどドラム(太鼓)と同じ構造だと思っていただければ良いかと思います。
ドラムの場合は輪っかの部分がせいぜい5mm程だと思いますがBanjoの場合はネックやフランジを装着するので20mm程の厚さが大抵あります。
フランジ
魚のヒラメやカレイのヒレの様にリムの周りにあるヘッドを締めるフックをかけるための装飾板で、一体型のものや特殊な形状をしたもの等色々あります。
ヘッド
ヘッドはリムに張られる皮の部分です。
昔はカーフスキンと呼ばれヤギや羊の皮が使用されていましたが現在はプラスチック製のヘッドが使用されています。サイズは11inchが一般的でしたが最近は12inchのモノも使用されています。
トーンリング
トーンリングはリムに装着されその上にヘッドが張らる部分でベルブロンズ、真鍮(ブラス)、アルミ、等の素材で作成されています。
このトーンリングの有る無し、トーンリングの形状でBanjoの音質は全く異なったものになります。
トーンリングの形状で各種パテントや特許がとられる位に重要な部品です。
ブリッジ
プラスチックヘッドの上に置かれその上に弦を張ります。
つまりブリッジは弦の振動をプラスチックのヘッドに伝える役目をします。
ギター、マンドリン、バイオリン等、多くの弦楽器にはブリッジがあるのですがBanjoのそれは他の弦楽器より薄く軽く作られています。
リゾネーター
バンジョー表面のヘッドで出た音を更に増幅する目的で本体の裏に装着される盆(リゾネーター)型の共鳴版です。
これが無いタイプのBanjoはオープンバックスタイルと呼ばれ、大きな音量を必要としないオールドタイム等の音楽で使用されることが多いです。
ネック
Banjoのネックには大きく分けて二種類に分けられます。5弦Banjo用と4弦Banjo用です。
そして4弦Banjo用には17フレットのものと22フレットのものがあります。
5弦の場合、5弦はネックの途中から飛び出していてどんな奏法を行ったときでも一定の高さの音が鳴るようになっています。
もちろんCapoを使用するときには5弦も合わせて音を上げられる様、専用の5弦用Capoやフィンガーボードに小さな釘を打ち5弦用のCapoとする場合があります。
SHUBB FS [5th String Capo for Banjo]
ちなみに5弦が一定の音を出すのって、ある意味ドローンと同じ効果を生み出します。
そしてこの様な一定の音を出す弦が付いている楽器はアメリカではBanjoの他にAppalachian dulcimer等色々ありますね。
Banjoの種類
5弦 Banjo
5弦Banjoはネックの途中から弦が飛び出しています。 これはこれでなかなか機能的な構造なんですけどね。
チューニングは多くの種類があるのですが今日一般的に使用されているのはオープンGチューニングで5弦からgDGBDです。
小文字のgは3弦Gの1オクターブ上にあわせますつまり音符で記述すると、
となります。
なので開放弦をジャラーンとかき鳴らすとGメジャーのコードが鳴ります。
4弦 Banjo
今日、4弦 Banjo(テナーバンジョー)は大きく分けて2種類の種類があります。
ひとつはデキシーランドジャズで使用されているテナーバンジョーと呼ばれているもの。
フレットは22フレットが多く、調弦は、低い方の弦からC G D Aとなり奏法的にはフラットピックを使用します。
もうひとつのテナーバンジョーと言えばアイリッシュ系。
フレットは17フレットが多く調弦はバイオリン、マンドリンの1オクターブ下のG D A Eにあわせデキシーランドと同じようにフラットピックを使用します。
演奏法概要
5弦バンジョー(3フィンガー奏法)
今日一般的に知られているBanjo奏法です。
右手の親指にはプラスチック、鼈甲、金属のサムピック、人差し指、中指には金属製のサムピックをはめロールと呼ぶギターで言うところのアルペジオパターンを高速で行いながらそのアルペジオパターンの中に曲のメロディーとなる音を混ぜていくとあたかもメロディー音を他の音が装飾するような効果が現れます。
これらの奏法はスクラッグス奏法と呼ばれ今日のBanjo奏法のベースとなっています。
元々はビル・モンローのブルーグラスボーイズに参加したアール・スクラッグスにより開発されたと言われていますが実際にはドン・レノやその他素晴らしいBanjoプレイヤーが同世代には既に活躍していました。
そしてスクラッグス奏法とならんで今日5弦Banjoの演奏法で重要な奏法としてメロディックもしくはクロマチック奏法と呼ばれているものがあります。
この奏法はスクラッグス奏法の欠点を補う意味で大変重要な奏法です。
スクラッグス奏法では歌モノの時にはメロディーとそれを取り巻く音を決まったアルペジオパターン(ロールと呼ばれます)で演奏するのですがスケール中心の曲(いわゆるフィドルチューン)の場合、このクロマチック奏法が登場するまでは単弦をフラットピックでギターを弾くように演奏していました。
その時、右手は親指と人差し指等を交互に動かして対処していたのです。
ドン・レノ、エディー・アドコック等がこういう弾き方をしていたのですが。
ここに Bill Keithがこのクロマチック奏法を引っさげて現れました。
奏法的には隣合った音を同じ弦で連続して弾かない。
これを曲を構成する音、全てに当てはめてメロディーを構成する音を探します。
つまり基本的には予め曲を構成する音のポジションを決めてから演奏を始めますので途中で失敗するとかなり痛いです。
今日ではこのクロマチック奏法を平気でインプロビゼーションに取り込んで演奏してしまう事も行われるようになり演奏者のレベルもかなりあがってきているように思います。
ちなみにスクラッグス奏法とクロマチック奏法は曲によって使い分けられたり同じ曲中で同時に使用されたりしています。
5弦バンジョー(フレイリング(クローハンマー)奏法)
こちらは5弦 Banjoが生まれた頃?から生まれた古典的な奏法でかなり変わった弾き方(他の楽器から考えると)をします。
クローハンマーというのはこの奏法を行う時の右手の形がクローハンマー(くぎ抜き)に似ているからです。
こんな感じで演奏します。
中指もしくは人差し指のつめ側で弦を叩くように鳴らした後、半拍置いて再び中指もしくは人差し指のつめ側で弦を叩くように鳴らし5弦を親指ではじきます。
これを連続して行うのですが上手い人が演奏するとポンチャカって感じの音が凄く気持ち良いんですよね。
3フィンガー奏法にクロマチック奏法があるようにクローハンマー奏法にもメロディッククローハンマー奏法と呼ばれる奏法があります。
こちらもフィドルチューンのメロディーを演奏するのに適した奏法です。
通常のクローハンマー奏法にハンマリング、プリングオフといったテクニックと同じ弦を連続して弾かない法則を適用したスケールを使用しフィドルチューンを滑らかに演奏する奏法です。
テナーバンジョーの奏法
デキシーランドの演奏ではコード弾が主ですが1枚のフラットピックであたかも5弦バンジョーの3フィンガー奏法の様に各弦を順番に弾き指で弾いているかの様な効果をだしたりもします。
とにかくフラットピック1枚で可能な限りありとあらゆる演奏法を行います。
滑らかに指盤上をすべる様に演奏するテクニカルなデキシーランドのバンジョー奏者の演奏には憧れを感じちゃいます。
アイリッシュテナーの場合、殆ど単音弾きでマンドリンやフィドルと同じようにフィドルチューンのメロディーをひたすら演奏し、コード弾は殆どしません。
アイルランドのダンスミュージックを演奏する時にはトリップレットやロールなどの各種装飾音をエミュレートする為、これらの装飾音を通常のオルタネイトピッキングに混ぜて演奏するのですが、正直、この装飾音を再現するのは慣れるまでかなりしんどいです。
特に3連のトリプレットを入れるとフラットピックの上げ下げする順番が変わるのでそれをカバーするためにスイープ風のピック使いが必要になったりします。
アイリッシュテナーバンジョー奏者のGerry O’Connor の演奏をみてみると曲中、至る所でコロコロ音が変わる部分があると思うのですがその部分はすべてピッキングでトリップレットを再現しています。
入手方法
Banjoは比較的入手しやすい楽器です。
少し大きな楽器屋さんに行けば大抵置いてますし。
値段も2万~ あったりします。
ただ、もし本当にBanjoらしい音を欲しいのであれば最低、5万以上出さないと無理かと思います。
5万以下のBanjoは大抵、本来木製のはずのリムがアルミで出来ておりトーンリングも装着されていません。
したがってその音はBanjoのカーンとした音ではなく何と言ったら良いのか・・・・ポコポコって感じの音なんですね。
そういうチープな音を使いたい場合は別ですが正直CDの音と比べたらやる気無くなっちゃいますから。
少なくとも5万以上の楽器でリムがしっかりしていれば何とかセットアップを上手くすれば倍の値段位の音には持っていけます。
更に言えば30万位出せばどの形のバンジョーでも一生使っていけるものに出会えるかなとは思いますが・・・・・(^_^.)
でも実際それだけの金額を出せるってほんとに楽器が好きじゃないと無理ですものね。
ちなみにOldTime等ではチープな音も好んで使用されますしあまりBanjoの音が目立って欲しくないような場合には5万以下の価格帯でもOKかと。
私も3フィンガーで使用しているものはそこそこの値段していますが外で持ち歩くときには軽いのが一番なのでアルミボディーの3万位のものですましています。
オープンバックもありますが良い奴になるとわりと重たくて。
結局自宅でしか使わなくなりました(笑)
ちなみにBanjoのメーカーって世の中には沢山存在していて色々な価格、材質、仕様で作成されていますので自分が目指す音楽やサウンドにあわせて探すと楽しいですね。
Banjoは国内でも手に入れやすい楽器です。
国内なら 石橋楽器店さんやAmazonでもバンジョー が購入できますよ。
このサイトの中でもこういう記事を書いています。
演奏したいスタイルのバンジョー毎の説明等がありますので宜しければどうぞ(^_-)