イントロ
ごちゃごちゃ最初に書いていますので上にある各パイプのリンクに飛んでいただいても良いかと思います。
ある楽器を演奏する人は自分が演奏している楽器以外の事はあまり知らなかったりします。
演奏法は勿論ですがそれ以前に楽器の音域等。
特に音域なんて気にせず演奏できるフィドルや鍵盤の方からすればなんで弾けないの?なんて疑問を持たれたりして。
昔の話ですがバンドメンバー募集で会ったピアノをやってるという青年と楽器の話になり
「アイリッシュパイプは約2オクターブの音域で半音は特定の音くらいしか使わない。」
旨の話をすると勝ち誇ったように、
「そんな音域の狭い転調も出来ない楽器、弾いてて面白いです?ピアノみたいに何でもできなきゃ(^_-)」
なんて・・・
同じ歳位なら自分もムキになったのかもしれませんがかなり下だったのでスルーしましたがなんか変な気持ちになりましたね。
教育って大事だなぁ~なんてつくづく思った瞬間でした。
まだ音楽やってるのかなぁ? その人。
なぁ~んて話は置いといてフィドルや蛇腹系の楽器なら出てくるノリや表現方法は独特ですが楽器の構造に機縁して演奏する事が無理なんて音はあまり無いですよね。
でもこれがパイプとなると色々制約が出てきます。
特に一緒に演奏する曲を決める場合に。
と言うわけでバイパー以外に知ってもらいたい意味でスコットランド系、ノーサンブリアン、一応、アイリッシュ系のパイプについてのパイプの音域を説明してみます。
アイルランドに関しては今は外野なので大枠だけ。
またスコットランド系に関しても先輩方が居られるのであくまでも他の楽器弾きさんに知ってもらいたい位の説明になりますが。
打ち込みアレンジする時も参考になるとおもいますよ。
昔、スタジオの録音等に参加していたのですがたいていパイプの音域やスケールを全く考えられていない音だらけで泣きそうになった事もよくありました。
そうそう、此処で説明しているパイプに共通して言えることなのですが譜面として書いている音と実際に出てくる音が違うものが結構あります。
たとえばNSPだとシャープがひとつ付いたGの譜面を使用しますが普通に使用されているNSPでそれを演奏するとFのキーになります。
またハイランドパイプではシャープが2つや、古い楽譜だとシャープ無しの譜面を使用しますが出てくる音はBbキーのミクソリディアンスケールです。
この辺りは管楽器をされている方ならお馴染みの移調楽器の類だと思えばわかりやすいかもしれませんね。
逆に言えば譜面と同じ音が出てくるパイプはDキーのアイリッシュパイプ、GキーのNSP、Aキーのボーダーパイプ位です。
各パイプの音域
ノーサンブリアンスモールパイプ
※ノーサンブリアンスモールパイプに関してはこちらで詳しく書いています。
まずはノーサンブリアン地方代表はノーサンブリアンスモールパイプ。
このパイプでは4つのキー(音域の高さ)が使用されています。
標準ピッチのF(A:440)、NSP本来のF、D、G。
そして音域は1オクターブです。
譜面であらわすとこんな感じです。
演奏する場合もこのGの譜面を使いますが普通に使用するNSPだと標準ピッチのFですので実際に出てくる音は、1つ下のFの音からのダイアトニックスケールつまりFメジャーのダイアトニックになりますね。
ちなみに現代のNSPには音域を広げる為のキー装置が付いていますので基本スケールの基音より下に3音、上に2音出るのが標準になっています。
譜面にすると次のようになります。 譜面内の赤色音符がキー装置で出す音です。
キーがGのNSPであればDのホイッスルとほぼ同じ音域です。 ( D→b )
ちなみに普通にキー装置を使用してC#音も出せますのでDの曲も演奏できますよ。(Gチャンターの場合)
標準的なFキーのNSPの場合でもこの譜面を使用しますので実際に出てくる音はこの譜面の1音下のFになります。
標準ピッチのFのNSPならCのホイッスルとほぼ同じ音域です。( C→a )
また、更にキー装置が多くなると2オクターブ、フルクロマチックのモノも有ります。
※赤字がキーを使用して出す音です。
基本は1オクターブの音域なのでその音域に収まる曲で有ればかなり無茶な事が出来ます。
早弾きやクローズドフィンガリングでのトリップレットをプリプリに。等。
大好きな Chris OrmstonさんのGチャンターによる演奏ですがだんだんと激しくなってきますよ。
但しキー装置を繁栄に使う様な音域の曲(標準的なアイリッシュチューン等)は速度を上げて演奏するにはかなりの熟練が必要です。
例えばDやEのクラン等、絶対に出せません。
キー装置をつかっては出せませんし奏法的に他のパイプのような装飾音は使用しない為。
ただしそういう制約にもめげず?ダンスチューンをかっこよく弾く方も居られますよ。
こちらも私のお気に入りのNSPパイパー、Dick Hensold さんです。
Dick さんは珍しいDのパイプを使用しています。
なので一緒に演奏する場合、このような音がたくさん使われている曲を避けていただけると優しさを感じます(笑)
と言いつつまだNSP弾きさんはそんなに居ませんのであまり気にするパイプでもないかと。
ちなみに私も一緒に演奏して貰う場合、特にFキーだと相手の方が大変なので移調が容易いアコーディオン弾きさんが多いです。
仲のよいフィドル弾きさんは1音落としたフィドルを用意していただいたりFのフォームで合わせて貰ってます。優しさに感謝です。m(_ _)m
※D→C、G→Fで弾けるフィドラーの方があまり居ないのは少し悲しいてすね。
アイリッシュパイプ
※こちらに詳しく書いています。
アイリッシュパイプはDのホイッスルとほぼ同じ音域です。
Dのアイリッシュパイプて有ればDから始まる2オクターブ。
更に半音もキー装置やクロスフインガリングを使用すれば他のパイプに比べて楽に出せますのであまり他の楽器弾きさんと一緒に演奏する場合に問題は無いかと思います。
ただし、半音はクロスフインガリングでCとC#、キー装置を用いてGをG#、F#をF位ですが。
キーはDの他にCやB、一部、Eb何てのも有るみたいですがもうアイリッシュパイプは表向きには止めましたし色々突っ込み来ると面倒なのでDのみで簡単に説明を終わります。
スコットランド系のバグパイプ
スコットランドでは同じ指使いで同じ音の並び(ミクソリディアン)出発の音が違っているパイプが使われています。
音域的には1オクターブと1音。
なので正しくハイランドパイプの運指を学べば沢山のパイプが演奏できるようになります。
半音はコンテンポラリーな曲でクロスフインガリングを使用し出す方も居られますが一般的な曲には登場しません。
とにかく1オクターブと1音。 これが大原則です。
一番下の音がGのパイプのスケールを上げると以下の様になります。
※青字はクロスフィンガーリングで音を出します。
具体的に説明すると上記の譜面ではGの音から始まっていますが実際にはその上のAの音からが重要になってきます。
このAの音から順番に音をたどっていくとA、B、C#、D、E、F#、G、Aとなります。
普通のAメジャースケールの場合だと赤字のGの音はG#となるのですがGのままです。
これがミクソリディアンスケールと呼ばれる音の並びでいわゆるバグパイプの音楽らしい雰囲気になります。
あ、上のG#もチャンターによっては正しい音で出せますね。その場合はAメジャー・スケールになりますが。
スコットランド系のパイプはほぼこの音の並びになっています。
異なっているのは出発する音が違っているだけ。
皆さんご存知のハイランドパイプは現代ではAの音が半音上がったBbから。
その他のバグパイプだとA、D、G等から始まっています。
たとえばボーダーパイプだとAが多いです。
ですので上記の譜面と同じ音域ですね。
ただし、スコティッシュスモールパイプと呼ばれている類のパイプだとハイランドパイプの1オクターブ下の音域で始まりの音がG、A、D等になります。
ですのでこの様な狭い音域ですが心配ご無用。
パイプ用の曲はちゃんとその音域内で表現されています。
音域は狭いですがその分、オーバーブロウする事もしませんのでひたすら超絶高度な装飾音を使用しメロディーに表情をつける事ができます。
こちらは Dのスモールパイプです。
という感じで色々書いてきましたがバグパイプはかなり制限のある楽器だと言う事だけでもわかっていただければ嬉しいです。
でも当たり前ですが制限と表現力は全く別の問題でそこがわからないと冒頭のピアノ青年みたいになっちやうので注意が必要ですね。
制限が有るのはある意味凄く自由になれるものです。
要は楽しく演奏できればそれで良いんですけどね(^_-)-☆
でわでわ🤗