今って無印良品に行けばブルガリアやアイルランドや何だかの民族音楽が流れPop’sの中にも民族楽器の音色を聴く事が日常茶飯事になってきました。
それだけ民族楽器の音色って魅力があるのかな?って思うのですが。
そしてそれらの民族楽器の録音依頼もよくありまして。
実際、私も色々参加したりするのですが。。。。
その時に頂いた曲のアレンジを見てみると大抵というかほぼすべての場合に、
ご依頼の曲で指定されている民族楽器の音域を大幅に超えている。
キーが全く違う。
そもそもそういう音の流れは出せない。等
のアレレな状態が多々ありまして。
それらを根気よく録り直ししたり最終手段としてソフトの力(MELODYNE等)で音を上下させるなんてのもよくある話なんですよね。なんて内輪ネタを暴露してしまいましたが(;^ω^)
なのでこんな事ではなく先にこの手の売れっ子民族楽器(爆)を使ったアレンジをする場合に一番それっぽく聴こえる音域や使える音の並び等を楽器毎に例を挙げて何回かに分けて書いてみます。
予定では、
セックピーパ
5弦バンジョー
アパラチアンダルシマー
等。※実際に自分で演奏したりしっかりした裏が取れている楽器のみですが。
そうすれば皆、ハッピーですね\(^o^)/
先ずは 全く人気の無いノーサンブリアンスモールパイプ(NSP)から。
ノーサンブリアンスモールパイプ(ス)
Northumbrian Small Pipes なんて記述されます。
海外のポップスやプログレのアルバム等にはよく登場しますが日本では全くないです(笑)
私も普通に売られているCDレコーディングで依頼を受けたのは3回ほどしかありません。
アイリッシュパイプや他のパイプに比べ表現力は地味ですし音的にもよくわからない。って感じだからでしょうか。
でも、もし使用される場合の事をかんがみて書きます。
音域
チャンター
基本の音域は、F~F の1オクターブです。
ただし使用する譜面はシャープが一つ付いたGの譜面。
クラリネット、サックス、トランペットみたいな移調楽器と思っていただければよいかと思います。
ですので此処でもシャープ一つのG調での説明を行います。
ただ、F菅の他にG、D菅もよく使用されています。
したがってこのGキーの譜面をFのNSPで演奏すればGの曲でもFが鳴りDのNSPで演奏すればDが鳴ります。
GのNSPを使用すると譜面と同じ高さの音が鳴ります。
音域は先ほど書きましたが基本はG~Gの1オクターブ(実際にはF~Fですが)
ただし現代のNSPは複数のキーが付きますの出せる音域は広がっています。
下の写真では上が17キーのF。下が7キーのGです。
7キーの場合、ホイッスルで言えばC菅とほぼ同じです。(表記上はD菅ですね)
※赤字はキーを使って出します。
また17キーの物になるとB~b(F菅の場合はA~a)までの2オクターブフルクロマチックになります。
※本体が見えないくらいにキーが付いています。
※裏表から見てもわからん状態でキーが密集。
ちなみにNSPにはクロスフィンガーリングによる半音出し等の操作は全くありません。
基本の1オクターブは右手親指を除いた両手の指、8本にそれぞれにひとつづつ割り付いています。
ですので1オクターブです。
残りの音はすべてチャンター上のキーで出します。
ドローン
ドローンですが概ね4本がついています。
その内、2本がペアーになっておりそれぞれGとDの音が出ます(F菅の場合はFとC)
上の写真では左の2本がD菅のペアー。右の2本がG菅のペアー。(F菅の場合はFとC)
そして2本のペアーは1オクターブの高さでチューニングされます。
ただしドローン菅は菅の途中にある穴を空けることで(そういう構造になっています)Gドローン菅の場合、G、A、B。Dドローン菅はD、C(C#)、Eを出す事が出来ます。
ですのでB、b、E、e や B、b、D、d なんてやると思いっきりマイナ―な響きになります。
個人的にはA、a、D、d 等も好きですね。
特徴的はフレーズ
ロール、トリップレット、クラン、スライド、ウエーバー、ポンピング等は一切行いません。
唯一カットノートを少し入れるだけです。
ただし、普通に弾いても他のパイプとは全く違うフレーズになります。
それは一つの音を出してから次の音を出すまでに一旦すべての指孔を塞いでから次の指孔を空ける指使いの為、全てのスケールは明確に切れた音の並びになります。
苦手なフレーズ
キーを使えばCホイッスルと同じとは言えキーを使いまくる様なフレーズは結構苦手です。(自分だけ?(笑))
良く弾いている曲の一部ですがこの手の音使いが連続だと結構辛いです(;^ω^)
この譜面で登場する音はG以外すべてキー操作で出します。
幸いこの曲は120位なのですが自分の場合はこれが正しく弾ける限界かも。
幸せになるには
やはりG~Gの1オクターブに収まったスケールだと本領発揮になります。
実際、古典的なNSPの曲は1オクターブに収まっています。
1オクターブに収まっている限り結構、音飛びが発生しても対応できます。
ただし個人の技量にもよりますが下のAの音を連続で連打する場合は演奏者に出来るかどうかを確認した方が良いかもです。
この音は薬指のみを上げ下げするので他の笛を演奏されているとなかなかにしんどい感のある音かもしれません。
例えばこのようなフレーズの場合、
実際にはこのように演奏します。
全てスタッカート(;^ω^)
此処でAの音を連続で上げ下げするのは馴れるまで結構しんどいです。
個人的には今はなんとか普通に出来るようになりましたがNSPを演奏し始めた頃は全く出来ませんでした。
多くの人がこの薬指が上手く動かせないのを理由にNSPを挫折しているのをよくききます。
ですのでやはり、
以下の音の並びを呪文の様に唱えながら曲をお作り頂ければ。
G, A, B, C D, E, F#, G(低 → 高)
※F菅だと実際は、
F, G, A, Bb, C, D, E, F(低 → 高)
が鳴りますね。
参考動画
先ずはG菅の演奏です。
2:50辺りからの音使いがNSPの真骨頂と言いますか全ての音が綺麗にスタッカートで演奏されていますね。
こういう音が欲しい場合にはNSPをどうぞ(^^♪
手前味噌ですがF菅で弾いたものですが。
1曲目のエアーはかなりレガート気味に弾いています。
最初のセットの最後のアップテンポの曲が先ほどの譜面に上げた Lads of Alnwick になります。
1オクターブの範囲でもこういう感じの音で演奏されます。
結構、ゆったりしたジグなのでちょっとレガート気味です。
そしてDキーだとこういう感じですね。
音域と相まってNSPの強力なスタッカートの音使いが少しやわらげられた感じですね。
NSPを聴き慣れていないとこの強力なスタッカートの連続が気持ち悪いなんてよく言われるんですが馴れるととても気持ちよくなります。
ちなみに7:38位から始まるリールは私も大好きでよく弾いています。
音源
Big Music for Northumbrian Smallpipes
アルバムについてのレビューは、
音源レビュー:Big Music for Northumbrian Smallpipes
にて。
Dick Hensold さんのアルバムがクラシックっぽいとすればこちらのアルバムはバリバリにアイリッシュ系の方にウケるアルバムかと思います。
音域も皆が聴き慣れているGですしね。
兎に角、ギターとフィドルでのアレンジがとても素敵な曲が沢山です。
NSPファンの方もですがフィドラーの方には特に聴いていただきたいなぁ~なんて思います。
ちなみにギターとフィドルと書きましたがピアノでの演奏も入っていましてこれがまた抜群に美しいですよ。
変なリバーブとかに頼らず音で勝負って感じで。
あと私がAndy Mayさんが好きなのはパイプだけではなくてメンバーそれぞれの良い部分をちゃんとアルバムの中に散りばめる工夫をされている処が人的に好きだなぁ~って思いますね。
こちらも是非是非ってアルバム(^^♪
国内のもの好きさん
国内でNSP を演奏されているもの好きですが知ってる限りでは私含め3人。
持っている方は5人ほど知っています。
この中でNSP をメインで演奏しているのは1.5人だけかも知れません。
微妙な書き方ですが😅
もし需要があればご紹介出来ます。
という訳で今回はこの辺で。
次回はアイリッシュパイプに関してです。
でわでわ(^^♪
コメント
いつもお世話になっております。どうやってこんなに、詳しく調べられるのですか。小池さん、凄い。