私的、フィドルチューンの聴き方

こちらの記事もむかーし書いてそのままにしていたので仕上げてアップ。

フィドルチューン って何聴いても一緒に聴こえる。って言うお友達用に書いた記事なので細かいところはかなり端折ってます。

雰囲気だけでも感じて頂ければ。

まず、

フィドルチューンってなに?

フィドル

フィドルチューンですが英語表記だとFiddle Tunesです。

フィドルチューンって直訳すれば、

フィドル(バイオリンの俗称:日本以外ではほぼ通じるかと)

チューン(曲位の意味)

なのでバイオリンで弾く曲って位の意味になりますね。

日本で バイオリンで弾く曲 はクラシックの曲って変換されてしまいますがヨーロッパ、アメリカだともう星の数ほどの曲があります。

このあたりの感覚はヨーロッパやアメリカの伝統音楽に触れているとわかるのですが。

ちなみに Fiddle Tunes となっていますがフィドル(バイオリン)でだけ弾かれているのではな他の楽器、例えば笛でもバグパイプでもあらゆる楽器で弾かれています。

もちろんバグパイプでも弾かれますよ。

それらの曲は国や地域によって特徴のある楽曲になっていましてそれぞれの音楽好きさん達がこれまた沢山いますね。

国別(地域別)サンプル

アイルランド

アイルランドでは Fiddle Tuneが沢山演奏されています

The Irish Fiddle Book: The Art of Traditional Fiddle-Playing (Book & CD) Matt Cranitch

irishbook1

実はこの Fiddle Tunes 、同じ国でも地域や人によってスタイル(弾き方)が違っています。聴きなれてくるとどのあたりの国や地域の影響を受けた音楽や演奏者なんてのがわかる様なります。ここでは代表的なのを幾つか。

スライゴー地方的なスタイル
ドニゴール地方的なスタイル

一概には言えませんがアイルランドの西部、スライゴー地域のスタイルだと結構、ロングボウ(一回の弓の上げ下げで弾く音の数が多い)なのですが北部のドニゴール地域になるとスコットランドに近いからかショートボウ (一回の弓の上げ下げで弾く音の数が少ない)感じですね。

あとは装飾音の構成がかなり変わったり。

という感じですね。

スコットランド

スコットランドになるとストラスペイ等の特徴的な跳ねるようなリズムの曲が多くそれらを効果的に演奏するるので結果、ショートボウが多いですね。

ただイングランドのような均一の間隔で出される音ではなくてもっと場面場面によって間隔が違うと言いますか。

スコットランド系のスタイル

ボウ(弓)の使い方が細かいですねぇ。

アイリッシュ系だと指板上で装飾音を作ることが多いのですがスコットランド系だとそれに加えて弓の細かい上げ下げでトリプレット(メロディーの間に聴こえるプルルって感じの装飾音)を作ったりしています。

アメリカ

アメリカにも沢山の伝統音楽が有りまして人種や音楽によっていろいろですがアイルランド、スコットランドからの移民が作った音楽をサンプルで上げてみますと。

オールドタイム系

先ずはオールドタイム。おなじ曲を弾いてもアイルランドやスコットランドで演奏されている装飾音てんこ盛りではなくもっとリズムやメロディーを強調した音使いになってますね。

更にダブルストップ(2本の弦を同時に演奏する)で音に厚みを持たせたり。

個人的にオールドタイムのフィドルは大好きです。

ブルーグラス系

次はブルーグラス。ホント、バカテクな人ばっかりで(*^^*)

今はもう殆どなんでもありの状態って感じですね(笑)

パッと聴いてブルーグラスの伝統?の枠を引き上げるのではなく変に違う方向に持っていかない限りは何でもありのスタイルって感じでしょうか。

特徴的には伝統的なアイルランドやスコットランドのフィドルチューンでは全く出てこないブルーノート等もドンドン取り入れられかなりブルージー&ジャージーな響きも聴けるようになっています。

動画ではふるーいフィドルチューンを交代で演奏していますがそれぞれにスタイルが違っていますね。

ブルーグラス迄来ると地域よりも奏者の違いでスタイルが違うって感じが強くなってますね。

実際にバンドの中ではこんな感じ。

ホント、この方凄いと思います。

アメリカではフィドルが一時期悪魔の楽器と呼ばれていましたがなんとなく納得する音ですね。

フィドルチューンは同じに聴こえてしまいます問題

で、長い前置きがありましてやっとここから本題。

まず、フィドルチューンはどれも皆一緒に聞こえるって問題。

伝統音楽以外の音楽やってる殆どのお友達から言われます。

なんでどれも皆一緒に聞こえるんだろう・・。(´・ω・`)

ん~これは難しいです。

聴こえるんだから仕方ない。そう言われればそうなんですが。。。。^^;

これも英語と一緒でちょっと聴き方を変えるととたんにそれぞれの曲の違いがわかる様になるかと思うのですが。

人って音楽を聞く時、かなりメロディーや曲調に変化が無いとわからないんですよね。特に何かの楽器や特殊な音楽聞き慣れてないと。

例えば、大抵のポップスだと、

イントロ → Aメロ → Bメロ → サビ → Aメロ → Bメロ → サビ → ブリッジ → サビ → サビ → エンディング

みたいな構成かと思います。※間奏もあったりしますね。

それぞれのメロディーで結構、違いが有ったりするので曲の違いや好き嫌いを判断できるんだと思いますが。

例えば、

だいたいサンプルみたいな構成になってますね。

ところがですね。フィドルチューンは?

A1メロ → A2メロ → B1メロ → B2メロ

みたいな構成が圧倒的に多いですね。

A1とA2はほぼ同じ、B1とB2はほぼ同じ。

ん~確かにこの構成だと他の曲と違いを探すのが難しそうです。

例えばこんな感じの曲になりますね。

これ3曲を繋げて演奏しているのですが・・・・^^;

正直、どれがどの曲か何処で変わったかもわかりませんよね?多分。

で、これって思うに2つの要因があるかと思ってまして。

まず、ポップス等、いわゆる普通の音楽では曲を構成する小節の中に入っている音数が少ない。

さっきのロビンソンなんて最初の小節は「あたーらしいー」で終わってる。

メロディー的には5つの音です。

こういう感じで歌えるメロディーが8小節続いてさらにそれを2回繰り返します。

もうよっぽどの事がない限り耳に残りますね。

ところがフィドルチューンの場合。

先程の動画の最初の曲は超有名な、The Pigeon On The Gate という曲でメロディーは、

音が満杯ですよね。

このあたりゴチャゴチャしてて正直、よくわからなくなるんじゃないかと思います。

二つ目は音の並びと言いますか。

フィドルチューンの場合、ポップスみたいに音の並びが歌的ではなくて。

もう経験したことのない音の羅列が続いています。

で、4拍子になっていますが実際には2ビート気味に弾きますので4拍子で換算すると1小節の中にだいたい16個の音がまんべんなく敷き詰められてる構成。

更にフィドルチューンの音域ってだいたいバイオリンの第一ポジションでしかもD(レ)より下の音はあまり使わず2オクターブ目のB(シ)位。

結果、曲も似通ってくる。

組み合わせ的にそりゃ変化を付けるのは大変です。

一つの音から次の音に行ける先は自分含めて13個です。(※Dから2オクターブ上のBまでは13なので)

でも実際に選択できるのはせいぜい数個。

当然曲も似てくるので区別がつかなくなって当然だと思います。

という感じで終わると悲しいのでここから反撃。

ではどうしたら違いがわかる様になるのかなぁ~?って考えてみると。

フィドルチューンの構成を感じると違いがわかるかも?

何を言ってるかといいますと。

フィドルチューンの構成は先程も書きましたが、

A1メロ → A2メロ → B1メロ → B2メロ (略して書くと、AA’BB’みたいに書きますね)

が基本で、

A1メロ → A2メロ → B1メロ → B2メロ → C1メロ → C2メロ → D1メロ → D2メロ ~ X1メロ → X2メロ(AA’BB’CC’DD’~XX’)

なんて構造になってます。

A、B以降に沢山続く曲も中にはありますので。

例えばこちらのスコットランドのパイプチューン。

6パート(AからF)迄ありますね^^;

譜面だとこんな感じ。

こういう構成を覚えるのではなくまずは感じるようにすると良いかと思います。

耳を慣らすと言いますか。

大体のフィドルチューン演奏する場合、3回以上は繰り返されるので。

まずは最初のパート(先程の例でいうとA1やA2)のメロディーだけ、なんとなく覚えます。

すると二回目に繰り返したときに再びそのメロディーが出てきたらそれで1回の繰り返しって認識できるんですよね。

すると今度はその最初のパートの次のパート、B1、B2のメロディーが耳に入ってくるようになるのでそれも覚えていくとだいたい1曲覚えちゃいます。

その頃になると段々と他のフィドルチューンとの違いがなんとなくわかるようになってきますよ。

O’neill’s Music of Ireland: Over 1,000 Fiddle Tunes

tunebook1

英語のlとrの発音の違いみたいな感じ?

フィドルチューンの楽しみ

ん~何が楽しいって言われると・・・・

大体の曲はその中に起承転結がちゃんと出来ててその短い中に物語が見えるんですよね。

もの凄く凝縮された。

例えるなら俳句みたいな感じ?

悲しみや喜び。ちょっとスネた感情、嫉妬等色々ですが。

そしてパート数の多いチューンだとそれらを更に說明するような部分も有ったり。俳句から短編小説、更には長編小説位な感じ。

そしてそれらのフィドルチューンをメドレーで演奏されているのを聴くのは短編小説集や章立てされた小説を読んでるみたいな感じ?

この辺りの感覚はなかなか伝わり難いと思うのですが。

ある程度曲を聞き慣れてくるとお気に入りの小説に出会ったみたいな感覚が出てくると思います。

そうなると今まで単なるスケールだったフィドルチューンが爆発的に頭の中に物語を作り始めてくれると思いますよ。

代表的なフィドルチューン例

好きな小説が一杯あるみたいに好きなフィドルチューンも一杯ありますがその幾つかを個人的な感想とともにご紹介。

Kid on the mountain

あまりにも有名過ぎてベタな曲ですが。起承転結、綺麗に付いててちょっとした短編小説です。

譜面ですがこんな感じ。

最初に曲を感じていただくには良い例かなぁ~なんて思い取り上げてみました。

5パートの曲なんですよね。

パートごとに見ていくと。

A:マイナー
B:メジャー
C:どキツいマイナー
D:更に追い打ちかけてマイナー
E:ちょっと安心メジャー

如何でしょうか?

自分的には、

苦難の道を旅する母と娘がAパートで描かれやっとオアシスにたどり着きしばしの平和な時間を描いたBパート。

そこに現れた人身売買組織。娘を奪って売り飛ばそうなんて魂胆。いきなりのマイナーでCパートですね。

そんな奴らに大切な娘を奪われそうになるお母さんの戦いがDパート。

なんとか娘を取り返し安堵の時を迎える2人をEパート。みたいな。

ん~もう殆ど幼少期から続く一人っ子の妄想癖になってしまいますがそれくらいの感情移入が出来るようになってきますね。フィドルチューンを聴いてると。

実際のメロディーはこんな感じ。

1:52辺りから始まります。

ほら、解説読んでから聴くとあなたも妄想族の仲間に入ってしまいそうじゃないですか?

こんな感じで聴いていくとぱっと聴いた感じ同じ様な曲でもそれぞれに違いがあっていい感じに頭に入ってくると思うんです。

ちなみにこのKid on the mountain。The Bothy Bandのアルバムで一躍、有名になりましたよ。

The Bothy Band

Sweeny’s Buttermilk

なんともケッタイな名前です。

今度は標準的な2パートのチューン。

チューンによっては物語よりももっと心を鷲掴みにする系の音の並びで感情に訴える怒りや悲しみを表しているような曲も結構あるんですよね。

俳句みたいな感じといいますか。

こちらのSweeny’s Buttermilk もそんな曲。

構成は、 AA’BB’ 。標準的、フィドルチューン。

ちょっと書いてみますと。

やるせない気持ち?を1小節目、B音ロールに込めてガツンと最初に持ってきて感情の起伏をあおったら4小節目でG#です。

この浮遊感がたまりませんね。

そして感情が揺れ動いていると思わせながらもなだらかにBパートに繋がります。

するとBパートではマイナーになったりメジャーになったり結局、マイナーで突っ走る構成は綺麗に季語が決まった俳句の様です。

実際の曲はこんな感じです。

1:11辺りからですね。

ちなみに先ほど出てきた、Little cascadeって曲ですが。

この曲、第一次世界大戦時、ドイツ軍の捕虜になったスコットランドのアバディーン出身のハイランドバイパー、George “G.S.” McLennanさんが捕虜収容所内で作った曲。そう思って聴くと納得出来る音の並びですね。

まとめ

やっぱりフィドルチューンの違いがわかるようになるには自分で演奏してみるのが手っ取り早くて良いかなぁ~って思います(^-^;

先ずはホイッスル辺りはどうでしょう?

でわでわ(^_-)