ワークショップ議事録概要
4月16日(金)、下北沢にあるLa Cana でのパディー・キーナン ライブの前に無理を言ってワークショップを開いていただきました。
参加者は関東在住のパイパー4人、名古屋1人、大阪1人(僕(^^♪)の6人。 ほんとに緊張しました(^_^.)
参加者皆が此処日本で目の前にパディー・キーナンが居るという現実をなかなか理解できない感じで。
そういう緊張の中、レクチャーが開始。
ここではその内容の概要を報告してみますね。
ところどころはしょられている部分もありますのでご容赦願います。
また実際にパディー本人が見せてくれた演奏をお伝えできないのが非常に残念ですが・・・・
なので詳細は参加者に聞いてみてくださいね。
ワークショップ開始
各色分けの意味は以下の通りになってます。
状況説明
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パディー談
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参加者談
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ほんのちょっとチャンターの音を。
そのうち音は合ってくると思うし。
とりあえず1曲弾いてみようか?
みんな知ってる奴ってどんなの?
曲名あんまりわからないし弾いてもらったらわかるよ。
よくアイルランドでスコットランド、ブリトン系、アイルランド系のパイパーと一緒に演奏するんだけど此処で聴いたみたいに皆が同じように揃ったリズムやノリで聞ける事ってあんまりないんだよ。
それって思うんだけど日本とアイルランドって文化的な共通点が多いんじゃないかって。
例えば伴奏やってくれてるじゅんじ(城田じゅんじ氏)が日本のフォークソングなんかを歌ってくれるときがあるんだけど全然違和感が無いんだよね。
それってきっと文化的な部分で共通点が多いんじゃないかって思う要因かな。
例えば目をつぶってシャンノースを聴いてごらん。
日本語の曲なんかととっても似たフィーリングを持ってると思うんだよ。
さらに日本人がアイルランドで演奏してるのを聴くと表面的に真似をしていると言うよりもっと心の底から伝わってくるモノを感じるんだよ。
じゃーこれから皆にそれぞれ弾いてもらって演奏のヒントになるような部分、若しくは不味いなぁ~って思う部分があったらアドバイスしようかな(^_^.)
でも、僕がそういうことを言ったからって気を悪くしたりしないでね。
どんな楽器の時でもね。
特に皆よくわかってると思うけどドローンのチューニングの時には特に。
もし貴方の楽器のチューニングがあってる時でもチューニングがずれてる人と一緒に演奏すると自分がずれてると思いがちだったりするしね。
なので改めて言うけど誰かがチューニングしてるときには音を出すのは控えようね(^_^.)
曲によってですね。
それと気になったのは非常に演奏に力が入ってるかなぁ。
パイプ製作者の人と話したんだけど彼は昔風の持ち方が良いって話だったんだけど・・・
自分にとって音楽とは自分の気持ちをどうやって表現するかなんだよ。
だからそれらを表現する場合、その流れが少しの障害でも止まってしまうんだよね。
で、話をバックの持ち方に戻して。
だから昔の人みたいに(此処で所謂パイプバッグをかなり上げて保持する持ち方を行う)持つんじゃなくて自分にとってはこういう持ち方が一番あってるんだよ。
そして伝統的な持ち方との比較を色々説明してくれた。
これだと必要以上に力が入ってしまうしね。
僕は自分の全人生をかけてパイプを研究してとにかく演奏する上での障害を除く事をいつも考えてたんだけどそうするとこの持ち方が一番良いと思うんだよね。
ほら、この持ち方だとレギュレーターがちょうど身体の中心、右手の下辺りにくるだろ?これでレギュレーターの操作がやりやすくなるんだ。
昔からの保持の仕方だとこんな感じで自由に右手が動かせないから。
あと、バックの形によっても持ち方は変わってくると思うんだ。
自分が今使ってるものだと上には持てないんだ。
もしバックを上にするとこんな風には出来なくなるからね。
バックの空気についてのお話
ベロウズで空気を送るときにはリズムを大事にしないとダメだよ。
それとふいごは必ず一杯に使うと言うことが大事だよ。
中途半端に使用すると疲れるからね。
中途半端なふいご操作はノイズの原因になったりするから。
それで緊張してしまって。
皆が緊張すると僕も緊張しちゃうからね(^^♪
普段こういう状態で演奏したりしないしそれで余計に緊張しちゃったのかな。
そしてそういう気持ちは自分の中にも入ってきて自分も緊張しちゃうんだよね。
なのでリラックスしようね。
お互い学びあって行ってそれは終わらない事なんだ。
セッションでチューンを覚えたりはするけどね。
セッションでチューンは勉強できるけど自分がどういう風に演奏したいのかとかどう伝えたいのかなんかは結局、勉強する事でもないし練習できることでもないと思うんだ。
だから他の人のコピーをせずに自分を表現できる方法を見つけて行きましょう。
あと音を上げるときにはそんなにバックを押さなくても良いんだよ。
自分が使ってるバックは人工繊維のものなんだけどこれだとバックに空気を送った時の張り具合などが凄くよくわかるんだ。
見た目は皮っぽいんだけど二重構造になってるよ。
あとバックを押すのではなくてバックに空気が一杯の時にベロウズで空気を少し送ってやることでオクターブの音を出したり出来るんだよ。
自分も若いときにはバックを押してオクターブの音を出すことをしていたんだけど50年程パイプを弾いてて(笑)わかったのはバックに空気が一杯のときにベロウズで少し空気を送ってやることで圧力を上げてオクターブを上げるって事も出来るって事。なのでそういう練習をしても良いと思うよ。
※この発言には一同ビックリ!!でした。
頭の中の物が出てくるまでには時間がかかると思うけど。
あとはとにかくベロウズで空気を送るときは完全にベロウズを膨らませて空気を送るということ。
そしてバックを常に一杯の空気で満たすこと。
レギュレーター等を使用するようになったらもっと空気を使用するからね。
自分で自分のリードを作ると言うことも大事かと思うよ。
楽器のバランスがわかるようになるからね。
とにかく大事なのはパイプを構成する各パーツのバランスをとるという事。
バランスがわかるとそんなに強くバックを押したりしなくても楽に演奏できるようになるしね。
音が出る前に沢山の労力を使ってしまうってのはおかしいよ。
とにかくパイプはしんどい楽器なので大変な部分は極力排除して行きましょう。
だってパイプって今まで上手く演奏できてたのにチャンターのリードをチェックして又元に戻したらもう鳴らなくなってるなんて事は日常茶飯事だよね?
そんな難しい楽器なんだから。
もし質問があったら言ってね。
楽器を作ってもらうときに色々話したんだけど。
なかなかに良い質問だ。
僕はレギュレーターを使用する場合、通常はコードで演奏するんだけど僕はシングルノートで演奏する事が多いんだ。
そのときにこういう感じでレギュレーター管の間隔が空いてると操作しやすいんだよね。
それとこのレギュレーターを操作する場合にこういう風にすると操作しやすくなるんだよ。
そして脅威のレギュレーター操作を見せてくれました。
それは右手の親指でのシングルノート操作とコードを操作を複雑に組み合わせたもので一同ぶっ飛び。
ドローンと一緒に弾いたりする?
弾いたり弾かなかったりです。
おもうんだけどもう少し圧力が必要じゃないかと思うんだけどね。
じゃドローンと一緒に弾いてみて(^^♪
指の位置の関係で音が少し漏れてるのかな?って感じしたんだけど。
音が飛ぶところで少し雑音が入ったりしてたので。
変な音が出るときには空気が抜けてることが多々あります。
色んなところから抜ける可能性がありますよ。
多くの人が上手く鳴らない場合、リードが悪いって言うけどリードよりは何処からか空気が漏れてる場合の方が多いです。
リラックスしてていい感じ。
最初に弾いた彼と違ってるよね。
リラックスするという事はとても大事です。
リラックスせずにタイトな弾き方をするとさっきみたいに滑らかに演奏すると言うことが出来なくなるんです。
例えばさっき私がやった高いGの音からバックDの音まで下がるときにも流れる様に演奏する事が出来なくなるんです。
そしてどうやってそういう風に弾くんだ?ってよく訊かれるんだけど勿論カットしながら演奏する事も出来るけどそういう風に演奏するのが好きなのでそうやってるんだ。
でこんな風に演奏するとパディー・キーナンって流れる様に演奏するレガートスタイルの演奏者ってよく言われるんですが実際は色々とミックスした演奏を行ってるんだ。
だから誰かの演奏が優れてると言うものではなく色んな人がそれぞれのスタイルで演奏している事が大事かな。
ある日、ホイッスルプレイヤーが自分の前で演奏してくれたときがあったんだけどその人はホイッスルコースでホイッスルを吹く場合、同じ圧力で吹きなさいってアドバイスされたって話したんだよね。
でもそんなの馬鹿げてる訳で(笑)
だって圧力変えないとオクターブのジャンプとか出来ないよね(^^♪
パイプの性質として常に音が合ってるわけじゃないよね?
さらにある音が正しく合ってるか合ってないかはかける圧力によって変わってきますよね?
だから全くいつも同じ圧力で弾きつづける事はありえないです。
ちなみに音がブレイクする圧力加減を先ず演奏前にテストしてるんだ。
そしてブレイキングポイントを見つけて、ブレイキングポイントを見つけたらそれにあわせて他の管のバランスをあわせます。
とくに早い曲を演奏する場合はこの調整が非常に大事になってくるよ。
→実際には2オクターブ目のBを出す場合にF#のフォームを作ってすばやくBの指使いにし圧力を変えてBを出していました。
これからチューンを弾くので装飾音を使いますよ。
よくCDで耳にする音なのですが実際に目の前で実践してもらうとなかなかに納得できました。
って感じでワークショップは終わったのでした。
目からうろこと言うより如何に自分が固定概念に捕われてパイプの演奏を考えていたかを思い知らされましたね。
とにかくパディーの人柄が物凄く良かったです。
色んな伝説が有るだけに(^_^.) かなりビビりまくりだったのですが彼の巧みな説明とそれを裏付けるテクニックその全てが最高でした。
ほんとにいい時間を過ごす事が出来ました。
ほんとに ありがとう!!
参考アルバム
Doublin’
Paddy Glackin & Paddy Keenan
Poirt an Phiobaire
Paddy Keenan
コメント
一期一会的なワークショップだったんですね。
興味深く読みました。とても勉強になりました。
演奏の技術面もさることながら、そもそもよい
音楽を奏でるために心身のリラックスした状態が
大切なんだと教えてもらったような気がします。
日本とアイルランドの文化の共通点と、それを
もたらす深い音楽の感じ方の指摘はありがたく、
嬉しくなりました。
> Micheal さん
そうなんです。
演奏麺よりもメンタルな面の話がとってもよかったですね。
特にパイプに対する気持ちの向かい方は素晴らしかったです。
伝統を守るだけではなく絶えず新しい事を試行錯誤する真摯な姿勢というのでしょうか。
それと文化に関する洞察力は深いものを持たれてる様に思いました。
Michealさんと同じく日本とアイルランドの文化的な共通点などの話はとても嬉しかったです。
わあ、こんなマトモに(失礼)ワークショップをしてくれるとは!驚きです。参加したかった。正直イメージ変わりますね。
2オクターブ目をベロウズで出す、これ私も自分の演奏やっているのに気がついてて悪癖として矯正すべきか悩んでいたんですが良いんですね。ベロウズを大きく使うのもこの人の特徴ですが、これは人によって全然違いますね。合成バッグの優位性も最近時々聞きます。一度試してみたいです。
素晴らしい経験になったんだろうな~。
Cキーを使ったランが日本で今後流行ること間違い無しですね(笑)。
> innerhand さん
ほんと、真面目に真摯になんで此処までやってくれるんだろう?って位に良い時間だったです。
やっぱりパディー・キーナンって感じでした。
改めて感激です。
本当に素晴らしいレポートありがとうございます。
よく熟読させていただきます。
なんとなく、パディーキーナンって「べらんめぇ」調の人かと思ってたけど
親切で優しい感じですね。
バッグはパンパンにした方がドローンの音が絶対いい音だとは
最近わかってきたのですが、
オクターブ音上げる時に更にベロウズで空気を送るなんて
なんか怖いな…とチキン発言。
本当に参考になります
ありがとうございました
> あっしー さん
やっぱり百聞は一見にしかずというのか自分の目で見て判断しないといけないというのかパディーキーナンはとっても紳士的で優しいおじさん。
いい意味でのパイプオタでした(*^_^*)
結局、人の噂話とかよりも自分の身体で体験し、良いと思った事はとことん極めてみてそこから何か答えを出したら良いやん。という姿勢はとっても尊敬できるなぁ~って思いました。
正直、最近落ち込み気味だったけど少し光が見えた気がしました。
[…] ここ数日、先月のパディー・キーナンのライブを見に行ったことによる散在と個人的な入用でお金がなくなってしまい本来の仕事後、夜はアーク溶接、グラインダーかけ、バイトでプログラミングなんていうフラッシュダンスみたいな生活してたんですがその合間を縫ってamazon提供の検索用API( Product Advertising API )を触ってみました。 […]