アイルランドやスコットランドの音楽を演奏している人ならだれもが知っている曲、Hector the Hero。
哀愁を帯びたとても優しいけど強さを感じる名曲です。
メロディーはこちらが一番良いかな。
上記のサイトでもmidiでの演奏が聴けてこれが凄く原曲に忠実になってますが実際に好きな演奏だとこちら。
同じ編成ですがこちらはCDのもの。
ライブの映像があるとかなり違いますね。
と言うわけで曲を改めて聴くとホントによくできたというか完璧な曲だなぁ~なんて思うわけです。
この曲は James Scott Skinner というスコットランドの大作曲家であり天才的なフィドル(バイオリン)の演奏技術を持った方が1903年に作曲した曲なんですね。
その後、スコットランドのみならずアイルランドや世界中で演奏されるようになってます。
スコットランドのお隣のアイルランドでも頻繁に演奏されていますがこちらに来るとオリジナルキーはAでしたが管楽器の関係かDで演奏されることが多いみたいですね。
たしかThe Bothy BandもDで演奏していたと思います。
こちらのアルバムですね。
なので時々私がSSP(スコティッシュスモールパイプ)でこの曲を出すと、
「あれ?Aなんですか?ドローンもAだし面白いですねぇ~(・ω・)」
なんて言われてしまいます。でもホントはAだからね(^-^;
で、更にややこしいのがこの曲はハイランドパイプでも定番なのでハイランドパイプと一緒に演奏する場合は半音上げフィドルのBbなんてキーで演奏したりします。
ん~もうわけわかんないって感じですが(笑)
と言うわけで良い曲だなぁ~なんて感じで終わるのですが有名な曲には色々な物語が有る事が多くて。
この曲にもありますよ。
そもそも曲のタイトル。
「Hector the Hero」
なんか不思議がタイトルですよね。
どんな意味なんだろう?って思いません?
私はこの曲を最初、The Bothy Band で聴いた時、曲の良さに物凄く衝撃うけまして必死で調べたのを思い出します。
最近はネットで手軽に調べられると思いますが。
それでもこちらでその物語を少し書いてみますと。
この「Hector the Hero」って曲は作曲者の James Scott Skinner さんが大親友だった Hector MacDonald 少佐にささげた哀歌であります。
当時 Hector MacDonald 少佐はセイロンでの任務に就ていましたがその地にての同性愛的な嗜好に関する問題で糾弾されます。
このあたり彼に対する陰謀論等、色々あるのですが。
そして彼はセイロンから引き揚げパリのホテルに居る時に軍法会議にかけられほぼ有罪が確定となる事を悟った彼はパリのホテルで自ら死を選ぶのですが。
その事に涙したJames Scott Skinner さんが作ったのがこの「Hector the Hero」です。
ホントに切ないですね。
歌詞もThomas McWilliamによってつけられています。
パブリックドメインなのであの団体から文句言われることも無いと思いますので記載。
Lament him, ye mountains of Ross-shire;
Your tears be the dew and the rain;
Ye forests and straths, let the sobbing winds
Unburden your grief and pain.
Lament him, ye warm-hearted clansmen,
And mourn for a kinsman so true
The pride of the Highlands, the valiant MacDonald
Will never come back to you.
O, wail for the mighty in battle,
Loud lift ye the Coronach strain;
For Hector, the Hero, of deathless fame,
Will never come back again.
Lament him, ye sons of old Scotia,
Ye kinsmen on many a shore;
A patriot-warrior, fearless of foe,
Has fallen to rise no more.
O cherish his triumph and glory
On Omdurman’s death-stricken plain,
His glance like the eagle’s, his heart like the lion’s
His laurels a nation’s gain.
O, wail for the mighty in battle,
Loud lift ye the Coronach strain;
For Hector, the Hero, of deathless fame,
Will never come back again.
O rest thee, brave heart, in thy slumber,
Forgotten shall ne’er be thy name;
The love and the mercy of Heaven be thine;
Our love thou must ever claim.
To us thou art Hector the Hero,
The chivalrous, dauntless, and true;
The hills and the glens, and the hearts of a nation,
Re-echo the wail for you.
O, wail for the mighty in battle,
Loud lift ye the Coronach strain;
For Hector, the Hero, of deathless fame,
Will never come back again.
ん~悲しいお話でした。
ちなみに自分がいろんな楽器でこの曲を演奏する時にはこのあたりのお話をさせていただいています。
フィドルの演奏でも。
ついでなので先ほどHector the Heroを演奏していた大好きなバンド、Wolfstone の好きな曲も。
このバンドにもGordon Duncanさんというハイランドパイプの歴史を変えたと言われるほどの名パイパーが居たのですがその話もまた。
でわでわ( ;∀;)